列車防護無線中継システム

本システムは、列車防護無線をトンネル内で用いるためのシステムです。
路線上のトンネル区間に中継装置を設置し、列車防護無線システムと組み合わせて運用します。

列車運行の安全性をより高めるシステムとして、路線上にトンネルを有する鉄道会社様に採用いただいております。

無線電波が届かないトンネル内の車両へ防護通報

列車防護無線は、線路や列車で異常事態が発生した際に列車から防護発報を行い、後続車両追突などの二次災害を回避するためのものですが、トンネル内は電波不感により防護通報が滞ります。
トンネル付近で異常事態が発生した場合、防護発報を行ってもトンネル内を走行する後続車両が受信せず緊急停止が間に合わないなどのリスクが考えられます。

そこで大日電子は、トンネル内車両への防護通報を可能にする「防護無線中継システム」を開発し、現地調査からシステム構築、各種機器敷設、アフターメンテナンスまで一貫して請け負っています。

列車防護無線中継システムの仕組み

開放区間を運行中の列車が、トンネル坑口付近で防護発報
→ 防護発報した車両の電波を、坑口に設置した受信専用のアンテナで受信
→ 同軸ケーブルを経由してトンネル内部の中継装置で防護信号を検出・中継
→ LCXケーブルを経由して再防護発報送信を行い、トンネル内車両に通報します。

【導入機器】

既に列車防護無線システムを運用されている場合、新たに導入が必要となる機器は「防護中継アンテナ」「同軸ケーブル」「防護中継装置」です。
「受信ブースタ」は現地調査（下記参照）に基づき、必要に応じてご相談の上で設置します。

「監視制御装置」はトンネル内に設置した「防護中継装置」「受信ブースタ」のアラーム情報を運転指令所など遠隔で監視・制御するための装置です。
※「監視制御装置」の導入は各鉄道会社様の任意です。

電界強度測定など現地調査を実施

▇ LCXケーブルの調査
LCXケーブルは既設の列車無線用ケーブルを兼用して運用するため、事前に弊社にてケーブルの有無や状態等を調査します。
※資料で事前にＬＣＸ情報、電界強度が確認出来る場合は作業省略させて頂きます。

▇ トンネル内の電界強度測定
弊社にてトンネル区間全域の電界強度測定を行い、報告書を提出します。測定の結果、長いトンネルにおいて電界強度が弱い（受信入力電圧が低い）箇所が見られた場合は、受信ブースタやブースタアンプの設置をご提案します。

▲電界強度測定とは：列車無線の通話品質に関わる電界レベルを測定し、路線を走行中の列車がどの程度の強さで電波を受信しているかをグラフに表します。
※トンネル内の電界強度測定は、弊社スタッフがトンネル内を歩行しながら受信電解強度を記録します。

各機器の概要と主な機能

①防護無線中継装置

列車から送信した防護発報信号を受信して、中継スロットより再防護発報をするための装置です。
主要な無線部・電源部は二重化（冗長化）仕様で、故障時は外部より監視制御可能な機能を有しています。

【製品機能】

・無線機2台構成/故障時自動切替
・電源投入時セルフチェック機能
・1号/2号切替
・ログデータ保存
・バッテリー実装、8時間

【製品仕様】

■環境条件
温度：−10℃〜＋50℃
湿度：周辺温度35℃において85%以下（結露しないこと）
■使用定格：2４時間連続
■筐体：耐震遮熱屋外用スリムラック
■外形寸法（外箱）：H1500mm×W360mm×D350mm（取付金具・突起部除く）
■重量：約130kg以下
■送信出力：要相談
■周波数：防護無線の周波数
※新スプリアス規格対応